主なスペック
- ウレタン遮熱工法
- 耐震等級3(認定取得)
設計コンセプトとエピソード
土地探しからのお手伝いでしたが、T様ご希望のエリアが非常に土地枯渇エリアのため、土地探しにはたいへん苦労しました。
悩み抜いた末に見つけた土地は、エリア・陽当たり・安全性と3拍子揃った場所でしたが、地盤が前面道路から約2メートルも高く、大規模な造成工事が必要な場所でした。この造成工事にはもう1つこの土地が買えるくらいの費用がかかっています。このように、土地購入後にどんな費用がいるのかも見据えて土地探しをしなくてはいけません。
しかし苦労して手に入れた敷地は非常に建築的な条件が良く、リビングを完全に真南に向けた配置計画が可能でした。さらにはかなり広い庭も確保できるため、リビングにはMAXサイズとなる4枚建ハキダシ窓(LIXIL/サーモスX 日射取得型トリプルガラス)を設置して解放感を演出。この窓から冬は存分に日射取得をしつつ、前面道路から室内が見えないリビングを確保できました。さらにT様のご希望である吹抜けも合わせ、実際の坪数以上の解放感をもったお家となっています。
2階ホールに設置したエアコンは、吹抜けと階段の位置関係によって対流するよう設計しており、夏はこのエアコン1台で全館が空調可能です。 「吹抜けって冬寒くなったり夏暑くなったりしませんか?」という質問をよく頂きますが、結論から言えば「家の断熱・気密性能と設計によります」。特にこの和歌山県においては断熱よりも気密が重要で、C値0.5以下の気密性能が確実に確保できないなら絶対にやめておいた方がいいでしょう。でなければ冬はまず暖まりません。また、きちんと吹抜けを空調空間に入れた設計をしなければ夏は吹抜け周辺がものすごく暑くなり、居れたものではありません。さらに言えば、吹抜けは耐震性をも損ないがちです。構造について理解していない人が設計した場合、そのあたりがまったく考慮されていないケースが多いので注意が必要です。性能を第一に考える当社では、耐震等級3を実現できないような間取りはご希望いただいてもお受けすることができません。
外観のアクセントとなっているのはブラックのデザイン庇です。これは建築家がよく使うデザイナーズパーツで、アルミのため非常に高耐久かつスマートなデザインながら、出幅を1000以上にできるため実用性も良好です。一般メーカー品では出幅が900が限度で、さらに上部に吊棒がくるためデザインがイマイチで私は好きではありません。白いガルバリウム鋼板外壁、白の窓枠、ここであえて庇カラーにブラックをもってきたT様のセンスには素晴らしいものがありますね。